東京三菱とUFJの統合の準備が進んでおります。今回の統合により、総資産190兆円の世界最大の金融グループが誕生することとなります。とはいうもののUFJ不良債権比率は8.9%と4大金融グループ中ダントツ。東京三菱の資本力をもってしてもこの数字は楽観できないでしょう。
「そんなこと別に自分たちには関係ない」
と思っている方も多いでしょうが、UFJにはすでに公的資金約1兆5000億円が注入されているのです。つまり、UFJはわれわれ国民から借金をしているのと同じです。はやいとこ不良債権処理を終わらせて、金を返してもらわなくちゃなりません。
 さらに、今回の合併が人事じゃないのはUFJと東京三菱の顧客企業およびその投資家たちです。ここで問題になるのは独占禁止法第4章第11条、いわゆる5%ルールと呼ばれるものです。以下に抜粋します。

銀行業又は保険業を営む会社は、他の国内の会社の議決権をその総株主の議決権の100分の5(保険業を営む会社にあつては、100分の10。次項において同じ。)を超えて有することとなる場合には、その議決権を取得し、又は保有してはならない。ただし、公正取引委員会規則で定めるところによりあらかじめ公正取引委員会の認可を受けた場合及び次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
以下略

わかりやすく書きますと、銀行は企業の株を5%以上保持してはいけません。という法律ですね。こういった法律がないと大手銀行が企業をいくらでも支配できてしまうことから定められたものなのですが、今回のような大手金融グループ同士の統合においては厄介です。つまり、UFJと東京三菱の所有する株をあわせると保有率が5%を超えてしまう企業が多く存在するのです。その数なんと76社。中には任天堂オリンパス光学、藤沢薬品、リコー等誰でも名前を知っている有名企業も名を連ねております。
 このような場合、株を保持し続けることは法律に抵触してしまうので、UFJと東京三菱は当然株を売却します。今回売却しなければならない株の試算金額は約700億円。自社の株価を安定させるために企業側は自社株を買い戻したりと大変な出費を強いられることが予想されます。
 というわけで本日はちょっとためになる金融講座でした。お粗末さまでした。
 ※ここでいう5%ルールは株式の大量保有開示義務に関するものとは別物です。