右の絵を見て今日のテーマがなんだかわかる人がいるかな?まず、右の絵はアニメーションになってます。といっても複数の画像を紙芝居みたいに切り替えてるだけなんですけどね。こうした画像形式をGIF形式と呼びます。いろんなHPでボタンとかロゴとかに使われてるのでおなじみですね。アニメーションではない普通の小さな画像なんかもGIF形式のことが多いです。GIFファイルはもともとの画像(BMPなど)を圧縮するものなのでファイルのサイズがとても小さくできます。この点がインターネット上の画像保存形式としてはとても優れているんですね。(GIFは使える色数に限度があるので写真などはJPEG形式です)
 実はこのGIFファイル、自由に圧縮や解凍ができません。いや、正確にはできませんでした。圧縮解凍のアルゴリズムの一部にLZWというアルゴリズムを使用していたためです。このアルゴリズムアメリカのUNISYS社が特許を申請していたため、UNISYS社にライセンス料を払わなければ自由に利用することができないのです。(ここでいう「利用できない」とは、「圧縮解凍」つまりGIFファイルの作成の話であってGIFファイルそのものをHPに掲載したりするぶんにはなんの問題もありません)しかし、UNISYS社が特許を主張した時点ですでにGIFはインターネットの世界に広く浸透していました。そこで、有名な画像ソフト(Photoshop等)はこぞってUNISYS社からライセンスの供与を受けました。Microsoft社もライセンスを取得したため、WindowsXPでは「ペイント」でGIFファイルがサポートされています。これらのソフトのユーザーは何の問題もなくGIFファイルを使うことができます。
 しかし、問題となったのはフリーソフトの作者たちです。GIF形式のファイルをサポートするためにはUNISYS社にライセンス料を支払わなくてはなりません。しかし、パッケージソフトを販売する「企業」と違い、フリーソフトの作者は「個人」、しかも営利目的ではありません。当初、UNISYS社は「フリーソフトに関してはライセンス取得の必要はない」というスタンスでしたが、1996年にこれを撤回。フリーソフトに対してもライセンス料の徴収を求めはじめました。
 これに反感を覚えたフリーソフト作者たちが創り出したのがPNGです。PNGはLZWアルゴリズムを使用せずにGIF以上の圧縮率を持つというものでしたが、アニメーション機能はなく、ブラウザによっては見れない(もしくは製作者の意図と異なる見え方をする)などの問題もあります。また、星の数ほどあるフリーウェアをいちいちチェックすることは不可能なため、ライセンス料を支払わずにGIFをサポートしているソフトも多数あります。
 このGIFの特許が6月22日切れました。これで、なんの気兼ねもなく自由にGIFをサポートしたフリーウェアを公開することができます。実際、Giam(http://homepage3.nifty.com/furumizo/giamd.htm)などGIFをサポートしたフリーウェアが特許期限切れと同時に多数公開されました。
 GIFアニメは作ってみると案外おもしろいのでGiamなんか使ってみるといいかもしれないですね。長年にわたりポストGIFを目指してきたPNGですが、今回の特許切れで世の中の流れはGIF主流に戻っていくでしょう。
 こういった「足を引っ張る特許」みたいなのは気に食わないですね。特許延長とかしたら世の中から大ブーイングを食らっていたことでしょう。会社でも「LHAを使うな」とかいろいろ言われますけど、「LHAはダメでなんでZIPはOKなの?」って聞いたらえらい人は答えてくれるんかな???