村上龍という作家がいる。「かぎりなく透明に近いブルー」や「コインロッカー・ベイビーズ」などで評価の高い日本を代表する小説家の一人だ。僕も結構好きでかなりの数を読んでいる。(といってもおそらく100冊以上著作があるだろうから半分も読んでないけど)
 小説のテーマとしてはSEX&ドラッグ&暴力といったところだろうか?現代社会の暗部にスポットライトを当てたような作品が多い気がする。暴力的なタッチは結構好みだ。
 が、最近は経済問題に関するエッセイ執筆が主な活動となってきている気がする。たしかに興味あるテーマだが村上龍ファンが果たしてそれを望んでいるのかどうか・・・。2,3冊読んでみたが小説に比べるとどうも見劣りする気がしてならない。

 もうひとついただけないのがサッカーだ。村上氏は大のサッカーファンらしく、中でも日本代表の中田英寿と親交が深いことは有名だ。中田のHPでもエッセイを執筆していた。どんなスポーツもそうだと思うが、実際にそのスポーツをやっていた人間とそのスポーツをやったことはないが長年そのスポーツを見続けている人間とでは、どうしてもその感受性に差が出てしまうと思う。村上氏のエッセイを読むとまさにそのことが実感できる。(サッカーをやっていた人には)情景描写がいかに巧みでもこのエッセイからはサッカーをやるなかでのゴール前でのボールに対する執念とか、一対一での複雑な駆け引きとか、PKでの祈るような気持ちとか、理不尽なジャッジに対する憤怒などが伝わってこない。つまり、ただサッカーを好きな人間が書いた文章だと思う。
 サッカーというものの素晴らしさを本当に理解してもらおうと思ったらこれはもう実際にサッカーをやってもらうしかないと思う。もちろん、ファンとして感じたり思ったりすることも多いと思うが、ピッチの中ではそれ以上にいろんな体験ができる。(くやしさとかみじめさとか痛みとかね)
 なんか偉そうに書いてみたが、競馬暦ウン十年のおっちゃんとJRAのリードジョッキーとでは競馬に関して温度差があるでしょってことを言いたかった。(たぶん)
 んで、サッカーの素晴らしさを理解するにはサッカーをやるのが一番なわけで、それをなんとか文章で伝えようと思ったらやっぱりその文章を書く人はサッカーを体験した人間でなくては難しいと思う。このあたりのことが今回のタイトルをつけた理由になるんだけども、私の稚拙な文章ではなんとも・・・。

 さて、ではまた。ムニャムニャ。